歯科事務長のコンサルティング的側面
~歯科事務長に歯科経営の相談相手になってもらう~
目次
診療以外の経営やマネージメント
歯科医院経営者は、診療という仕事以外にも「経営の仕事」や「管理の仕事(マネジメント)」を同時におこなう必要があります。
診療だけでも責任が重く大変な仕事なのに、それにプラスアルファで別の仕事が加わってくると、院長は身も心も休まる暇がありません。
また、一般的に開業しているドクターは、自身が院長になるまでの間に経営やマネジメントを勉強する機会がほとんどありません。
これは構造上致し方ないことなのですが、大学では国家試験に合格するための勉強がほとんどのウエイトを占めますし、晴れて歯科医師になった後も、数年間は臨床を覚えることで精一杯になりがちです。
つまり勤務医時代に分院長などのポストを経験したり、自分自身で率先して勉強しない限り、経営やマネジメントの基本を学んだり身に着けることは難しいのが現状です。
これは言い換えると、院長として自身の医院を開業するタイミングで、経営やマネジメントの知識や能力を持ち合わせている歯科医師はとても少ないということです。
つまり、知識や能力が不足している状態でいきなり経営者となり、診療以外の業務をこなしていかなければならないのです。
現実的に、開業直後は売上的に歯科事務長というポジションを院内に置くのはなかなか難しいと思います。
しかし、院長の努力で医院が成長し一定の規模になってくると、様々な経営問題が噴き出てきて、一人で対処するのが難しくなってきます。
そんな時、医院経営において院長の相談相手になってくれる人材が身近にいると、院長自身とても心強いですし、正しい意思決定やアクションがしやすくなります。
院長一人だと医院経営が大変な理由 5つ
①院長は診療のプロであっても経営のプロであるとは限らない
先ほども申し上げた通り、歯科医師が院長として開業するまでの間に、経営やマネジメントを勉強し、身に着けるのは難しいのが現実です。
これは業界の構造上致し方ないことではあるのですが、経営やマネジメントの知識・経験が不足している状態で経営をスタートせざるを得ないため、開業後に色々な問題が起こりやすくなります。
②院長(経営者)とスタッフ(従業員)とでは考え方が180度違う
これはそれぞれの立場が違うので当然ではありますが、院長とスタッフとの間にはどうしても埋めがたい考え方、価値観の違いがあります。
例えばスタッフにとっての「給料日」は、経営者にとって「支払日」です。
また、スタッフにとってのお休みや休憩は「休養」となりますが、院長(医院側)からすると、「ロス(機会損失)」となります。
つまり、賃金を払っているのだから、生産性(売上)を上げたり院内を改善させるためにできるだけ働いてパフォーマンスを出して欲しいと考えています。
双方の立場と考え方を理解した上で、間に入って調整やフォローをしてくれる人材がいないと、院内でフラストレーションがたまり、トラブルや揉め事が起こりやすくなります。
③歯科医院は組織化できていない場合が多い
歯科医院は10人以下の小さな単位で運営されていることが多く、医院が組織化されていないケースが多く見受けられます。多くの医院はトップに院長がおり、その下は中間管理職ではなく直で現場スタッフがいる形になります。
②でも触れた通り、経営者と現場スタッフとでは考え方や価値観が180度違うので、直接やり取りすると認識や考え方の相違が生まれ、関係がギスギスしたりトラブルに発展することがあります。
経営者とスタッフとの間にクッション的な役割を担ってくれる人材を置いた組織をつくらないと、後々ひずみが生まれ医院経営に悪影響を及ぼすことがあります。
④院長一人で「診療」「経営」「管理」の業務を回すのは物理的に難しい
「診療」「経営」「管理」の業務を一手に背負っている院長は、言うまでもなく多忙です。
多くの場合、院長は治療面(臨床面)でも中心的存在のため、どうしても診療が最優先になり、経営の仕事や管理の仕事は後回しになりがちです。
医院の経営課題を共有することができ、実行に移すことができる歯科事務長がいると、滞りがちの経営、管理面の仕事がどんどん進みますが、院長一人で対応しようとするとどうしても限界があり、業務が滞りがちになります。
⑤院長は孤独です 1人で正しい意思決定を下し続けることは難しい
歯科医院の院長に限らず、経営者というのは得てして孤独を感じがちです。
経営者はすべてにおいて意思決定をおこない、その結果に対して全責任を負うことになります。
つまり医院において最高の権限を持つ存在である反面、責任も負わなければならないのです。
しかし、経営者とはいえ一人の人間なので、当然迷うこともありますし、専門外のことに関してはわからないことも出てきます。
そんなとき、院長の立場を理解し話を聞いてくれ、背中を押したり間違いを指摘してくれる存在がいるだけでとても心強いものです。
まとめ
以上いかがだったでしょうか?多くの業務と役割を負った院長は、心身ともに本当に大変です。
院長一人ですべてを抱え込まず、医院経営のことや院長の悩みを共に共有してくれるパートナー(相談相手)を置くことで、医院経営も楽になり、生産性も上がるのではないでしょうか?