歯科医院の「施設基準」、6月に届出が必要なものを全部まとめました
再届出・新設・廃止、見落とすと返戻になるケース一覧
令和8年6月の診療報酬改定で、歯科の施設基準は大きく動きました。
新しく届出が必要になったものがある一方で、これまで届け出ていた施設基準が廃止になったにもかかわらず、算定を続けてしまっているケースも起きています。いずれも返戻・査定の原因になりかねません。
このコラムでは、今次改定で対応が必要な施設基準を「再届出必要」「新設」「再届出不要(要件変更)」「廃止」の4区分に整理しました。自院の対応状況の確認にお役立てください。
⚠ 要注意:経過措置なし。6月1日までに届出が必要です
以下の施設基準は旧名称のまま継続できません。再届出を行っていない場合、6月以降の算定は認められません。
目次
① 再届出が必要な施設基準
| 施設基準名 | 略称 | 対応区分 | 主な要件・注意点 |
|---|---|---|---|
| 電子的歯科診療情報連携体制整備加算1・2(歯DX1・2) | 歯DX | 再届出必要 | 旧「医療DX推進体制整備加算」「医療情報取得加算」からの経過措置なし。マイナ保険証利用率30%以上等が新要件。 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算1・2・3 | 地外薬供 | 再届出必要 | 旧「外来後発医薬品使用体制加算」からの経過措置なし。後発品使用率に加え流通効率化等の要件が追加。 |
| 歯科外来・在宅ベースアップ評価料Ⅰ(継続施設) | 歯ベアⅠ | 再届出必要 | 令和7年度から継続算定している医院も再届出が必要。点数が変更(初診31点・再診6点)。 |
② 新設された施設基準(新たに届出が必要)
以下は今次改定で新たに設けられた施設基準です。要件を満たせば届出が可能で、算定できる点数が増えます。
| 施設基準名 | 略称 | 対応区分 | 主な要件・注意点 |
|---|---|---|---|
| 口腔機能実地指導料 | 口実指 | 新設 | 指定研修を修了したDHの配置が必要。経過措置あり(受講後に再提出)。DHへの処遇改善取組も要件。 |
| 歯科疾患管理料の特別管理加算 | 特管 | 新設 | 障害者歯科治療の経験5年以上・60症例以上の歯科医師が必要。専用ユニットの確保も要件。 |
| 歯科訪問診療の注7に規定する基準(訪問診療4・5の算定要件) | 歯訪問 | 新設 | 歯援診1・2・歯援病があれば不要。直近の訪問実績等で要件を満たす。経過措置あり・届出不要。 |
| 3次元プリント有床義歯 | 3DFD | 新設 | 補綴治療3年以上の歯科医師配置が必要。院内技工士または対応技工所との連携が必要。 |
| 歯科吸入麻酔または歯科静脈麻酔(Ⅱ) | 歯麻酔Ⅱ | 新設 | 全身麻酔50症例以上経験の常勤歯科医師の配置、または歯科麻酔管理料の施設基準届出が条件。 |
| 歯科技工所ベースアップ支援料 | 歯技ベ | 新設 | 技工所との連携・合意のうえで届出。支援料は全額技工委託費の増額に充てる必要あり。毎年8月に実績報告。 |
| 歯科訪問診療料の注22に規定する医科連携体制加算 | 医連 | 新設 | 歯科のない病院との連携体制の整備と院内掲示が必要。届出不要。 |
③ 再届出は不要だが要件が変わっているもの
以下は再届出が不要ですが、要件や名称が変更されています。算定を続けるには内容を確認し、院内運用を更新する必要があります。
| 施設基準名 | 略称 | 対応区分 | 主な要件・注意点 |
|---|---|---|---|
| 歯科点数表の初診料の注1(歯初診)/地域歯科診療支援病院歯科初診料 | 歯初診 | 再届出不要 | 研修内容に「抗菌薬の適正使用」が追加。4年に1回以上受講・保管が必要。8月の定例報告は不要に。 |
| 歯科外来診療感染対策加算2・4 | 外感染2・4 | 再届出不要 | 研修受講を確認できるものの保管が必要。8月の定例報告は不要に。 |
| 小児口腔機能管理料の口腔機能管理体制強化加算 | 口管強 | 再届出不要 | 名称変更のみ。算定項目名も「歯周病継続支援治療」「口腔機能実地指導料」に変更されている点に注意。 |
| 在宅療養支援歯科診療所1(歯援診1) | 歯援診1 | 再届出不要 | 実績要件が「過去1年間」から「直近1か月」評価に変更。臨床研修施設ルートが追加。経過措置あり。 |
| 在宅療養支援歯科診療所2(歯援診2) | 歯援診2 | 再届出不要 | 実績要件に臨床研修施設ルートを追加。経過措置あり。 |
| 歯科技工士連携加算1・2 | 歯技連 | 再届出不要 | 技工士名・技工所名の院内掲示が新たに必要。技工士の処遇改善体制整備も要件に追加。 |
| 在宅医療DX情報活用加算 | 在宅DX | 再届出不要 | 電子カルテ情報共有サービス導入は当面経過措置。研修受講の確認書類保管が必要。 |
⚠ 廃止済み:6月以降の算定は返戻・査定の対象になります
以下の施設基準は令和8年6月1日をもって廃止されました。レセコンの設定が残っていると、気づかないまま算定し続けるリスクがあります。
必ずレセコンの設定を確認し、算定から除外してください。
④ 廃止された施設基準
| 施設基準名 | 略称 | 対応区分 | 主な要件・注意点 |
|---|---|---|---|
| 医療情報取得加算(医情) | 医情 | 廃止 | 「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」に再編。旧名称での算定は不可。 |
| 医療DX推進体制整備加算(医療DX) | 医療DX | 廃止 | 同上。「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」に再編。 |
| 在宅歯科医療推進加算(在推診) | 在推診 | 廃止 | 歯援診1・2・歯援病に対する加算として要件変更。旧点数(一律100点)での算定は不可。 |
| 外来後発医薬品使用体制加算(外後発使) | 外後発使 | 廃止 | 「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に再編。再届出が必要。 |
| 口腔細菌定量検査・咀嚼能力検査・咬合圧検査の施設基準 | — | 廃止 | 機器を保有していれば施設基準届出なしで即算定可能に変更。届出は不要になった。 |
施設基準の対応は「一度やって終わり」ではありません
施設基準の届出は、開業時や改定のタイミングだけ対応すればよいものではありません。毎年8月の実績報告義務があるもの、要件充足の継続確認が必要なもの、人員体制の変化で要件を満たせなくなるリスクがあるものなど、継続的な管理が求められます。
「届け出た記憶はあるが、今も要件を満たしているか自信がない」という医院こそ、この機会に一度全項目を棚卸しすることをお勧めします。
施設基準の届出状況、全項目チェックした自信はありますか?
本コラムで取り上げた施設基準の届出チェックリスト(自院の対応状況を確認できるExcel形式)と、詳細解説資料を無料でお送りしています。下記アンケートにご回答いただいた医院様に順次お送りします。所要時間は約2分です。

※ ご回答いただいた情報は、資料送付およびインダストリーからのご案内にのみ使用します。
よくある質問(FAQ)
施設基準の届出・管理について、よく寄せられる質問をまとめました。
Q1 廃止された施設基準をそのまま算定し続けていた場合、どうなりますか?
A 返戻または査定の対象になります。廃止された施設基準に基づく算定は、6月以降は認められません。審査支払機関が気づいた時点でレセプトが差し戻されますが、場合によっては過去分の返金を求められることもあります。「気づいたらすぐに算定を停止し、レセコンの設定を削除する」ことが最初の対応です。過去に遡及した対応が必要かどうかは、状況によって異なるため、専門家への相談をお勧めします。
Q2 「再届出が必要」と「新規届出」は何が違いますか?どちらも同じ手続きですか?
A 手続き自体はどちらも地方厚生局への届出書類の提出ですが、意味が異なります。「再届出」は旧名称の基準が廃止・再編されたため、新しい基準名で改めて届け出るものです。旧届出はそのまま引き継がれません。「新規届出」は今回の改定で初めて設けられた基準への対応です。特に旧「医療DX」「外後発使」は経過措置なしで廃止されているため、再届出が完了するまでの間は加算が算定できない点にご注意ください。
Q3 「再届出不要」と書かれている施設基準は、本当に何もしなくていいですか?
A 届出の提出は不要ですが、要件の内容は変わっています。たとえば歯初診・外感染加算2・4は「研修内容の追加」があり、抗菌薬の適正使用に関する研修を4年に1回以上受講し、受講を確認できる書類を保管する義務が生じています。また歯技連1・2は技工士名・技工所名の院内掲示と処遇改善体制整備が新たに必要です。「再届出不要=変更なし」ではないため、要件変更の内容を確認したうえで院内運用を更新してください。
Q4 「毎年8月の実績報告」とは何ですか?忘れるとどうなりますか?
A ベースアップ評価料・歯科技工所ベースアップ支援料など一部の施設基準は、毎年8月に「賃金改善実績報告書」を地方厚生局に提出することが義務付けられています。これは、算定した評価料が実際にスタッフの賃上げに充てられているかを報告するものです。提出を怠った場合、当該施設基準の届出が取り下げられ、以降の算定ができなくなるリスクがあります。届出後も継続的な管理が必要な理由はここにあります。
Q5 自院でどの施設基準を届け出ているか、一覧で把握する方法はありますか?
A 地方厚生局の「届出受理状況」をオンラインで確認できます。各地方厚生局のウェブサイトで医療機関名を検索すると、現在受理されている施設基準の一覧を閲覧できます。ただし、更新に時間がかかる場合があるため、自院でも届出控えを整理しておくことが重要です。「届出した記憶はあるが書類が見当たらない」という医院は、この機会に専門家と一緒に棚卸しを行うことをお勧めします。インダストリーでは施設基準の現状確認から始める無料相談を承っています。
株式会社インダストリー
歯科事務長代行アウトソーシング・BPOサービス / 歯科経営サポート
TEL:03-6324-6762 | お問い合わせはこちら






