歯科医院に事務長は必要でしょうか?
~現場の声を吸い上げる(基本スタッフは院長に本音をしゃべりません)~
院長とスタッフのコミュニケーションがとれない
歯科医院において、経営者である院長と現場スタッフとの間でコミュニケーションがきちんと取れていないケースがよく見受けられます。これは歯科医院だけに限らない話なのですが、やはり現場スタッフが腹を割って院長に本音を話すということはなかなか難しいようです。そもそも経営者と従業員とでは基本考え方が真逆で、お互いの利益が相反しがちです。
【例1】労働時間に対する考え方の違い
院長 ⇒ お給料を払っているのだから、時間一杯しっかり働いてもらわなければ困る。
スタッフ ⇒ 一生懸命働いても手を抜いてもお給料は同じだから、できるだけ楽をしたい。
【例2】お給料など報酬に対する考え方の違い
院長 ⇒ できるだけ人件費を抑えて医院の利益を増やしたい。
スタッフ ⇒ お給料もボーナスもできるだけたくさん欲しい。
【例3】備品や歯科材料などコストに対する考え方の違い
院長⇒高額な医療機器なので大切に扱ってほしい。衛生用品が高騰しているので無駄に使ってほしくない。
スタッフ⇒どうせ医院負担で購入しているものなので壊れたらまた買い替えてもらえばいい。衛生用品も無くなったら注文すればよいのでケチケチしないで使いたい。
このような価値観の相違ですが、どこの現場でも多少なりともあるのではないでしょうか?
規律の乱れが院内の問題になることも
現場の問題を吸い上げる上で、本音を話しやすい雰囲気や風土づくりが必要となりますが、かといって友達や同僚のように何でも気軽に話せるフランクな関係というのも、院長と従業員との関係としては決して好ましいものではありません。やはり一定の距離間と上下関係を保っておかないと、院内の規律が乱れ大きな問題になる可能性があります。
とはいえ、現場で起こっている問題や真実を院長がしっかりと把握しておかないと、スタッフの反乱、スタッフ同士のいざこざ、不正、一斉退職など後々大きな問題に発展してしまうことがあります。
スタッフの不満や不安
ちなみにスタッフが抱えがちな不満や不安は下記のようなものが多いようです。
①給与やボーナスなど待遇に関する不満
②自分に対する評価に納得できないという不満
③院長のスタッフに対する扱いや待遇に関する不公平感
④院長や上司(チーフなど)、同僚との折り合いが悪い
⑤医院の将来や自分のキャリアに対する不安
歯科事務長がリアルな声を共有する
そこで重宝されるのが歯科「歯科事務長」です。歯科事務長には、院長側でもスタッフ側でもないフラットな立場でいてもらい、院長とスタッフの間に立ってコミュニケーションや情報共有のサポートをしてもらうと良いと思います。
まとめ
院長とスタッフ両方の立場や考え方を理解し、双方としっかり信頼関係を築ける歯科事務長がいれば、スタッフが日々感じている本音=心配事や不満などを聞き出すことができます。つまり歯科事務長が現場のリアルな声を吸い上げ、事前に院長に情報共有することで、最悪の事態になる前に手を打つことができます。