歯科事務長はどこまで院長のサポートができるか
~歯科事務長に秘書業務を進めてもらう(書類整理、出張手配、スケジュール管理など)~
診療以外の業務が多い
以前のコラムで、院長は診療以外にも抱えている業務が多く、物理的に忙しいというお話をさせていただきました。
院長には、資金繰りをする上での金融機関との折衝、医療機器購入や改装などの投資判断、スタッフ採用、医院の経営方針の作成、歯科医師会や業界関係者同士の付き合いなど、歯科医院経営者でないとできない仕事があります。
一方で、学会参加等の出張に関わる準備(チケットや宿泊先の手配)や、メールや郵便物チェック、申請書類等の作成や領収書整理などの事務作業、スケジュール調整など、ひとつひとつは小さくても相当な量の仕事を院長自身がおこなっていることがよくあります。
単価が高い院長が業務に時間を割かれるのは効率的?
あえて言うまでもありませんが、歯科医院の中でもっとも時間単価が高いのは「院長」であるケースがほとんどです。
つまり、院長は医院の売上を上げる「プレイヤーとしての仕事(診療)」や、医院の経営の根幹に関わる「経営者の仕事」に集中する方が合理的なのです。
このように時間単価の高い院長が、上記で触れたような細々した仕事に時間を割かれてしまうのは、非常にもったいないことですし、本来あるべき姿ではありません。
そこで院長の時間を捻出できるようにするために、事務長に院長の秘書的存在になってもらい、細々した業務を担ってもらうのです。
歯科事務長の秘書業務とは
それでは、一般的に秘書業務とはどのような仕事内容なのでしょうか?
・社(院)内外の予定で多忙な経営者のスケジュール管理や調整
・出張費の申請や準備、チケット手配、宿泊先予約などを代行
・毎日頻繁にくる電話やメール、来客の対応
・仕事に必要な資料や、社内で配布する文書などの作成
・書類や郵便物、備品などを整理してわかりやすく管理
・経営者の使用している机や部屋の掃除や片付け
・意思決定のための情報収集や、役立ちそうなニュースを収集
・会食で使えそうな人気の飲食店や、手土産などの情報をストック
・経営者の個人的な買い物や用件をを代行 など
あくまで上記は秘書業務の一例なので、医院の事情や歯科医院経営者の判断で任せる仕事、自分でやる仕事を決めていただければよいと思います。
院長自身でなくてもできる仕事で、他人にお願いできるものは、手放して任せた方が身軽になれます(業務のアウトソーシング)。
そうすることで、必然的に本来院長がやるべき仕事や新しくチャレンジしたい取り組みに集中することができます。
どんな人材が歯科事務長向き?
それでは、どんな能力を持った人材が歯科事務長の秘書業務を行うのに向いているのでしょうか?
①コミュニケーション能力
きちんと最後まで話を聞いたり、わかりやすく的確に情報を伝えることができる能力。
②洞察力
院長がやって欲しいことを事前に察知したり、状況を読み適切な行動ができる能力。
③ホスピタリティ
お客様、院長、スタッフなど相手に対する思いやり、配慮ができる能力。
④情報処理能力
膨大な情報の中から必要な情報を取捨選択し、整理して伝えられる能力。
⑤スピード感
依頼されたタスクに対し迅速に動き、期日までに間に合わせられる能力。
⑥正確性
依頼された仕事を間違いなく正確に処理し、最後まで実行できる能力。
業務を任せるにしても注意が必要
最後に歯科事務長に秘書業務をお願いするにあたっての注意事項をお伝えします。
歯科事務長が院長の秘書業務をおこなうということで、一緒に仕事をする時間が増えることを意味します。
つまりその分センシティブな情報に触れる機会も増えるので、きちんと秘密を守れて信頼できる人材を置くことが大切です。(事務長の人間性を慎重に見極めてください)
また、主体性がない人材を据えてしまうと余計に仕事が増えてしまうこともあります。
仕事をいちいち指示する必要があり、進捗状況も随時確認しなければならないので、労力が倍増し逆効果になります。
まとめ
最後になりますが、歯科医院内での秘書業務は周りから見えにくい部分があります。
ミスや不正につながる可能性もあるので、おこなった業務に関してはきちんと報告させることが大切です。
また、医院の経営を左右するような重要な仕事や秘匿性の高い情報には、安易に関わらせない方がトラブルの防止になります。(法人印の管理、契約事項、金銭の管理、人事情報など)